中風(脳梗塞の後遺症)についてのメモ
中風の患者
一婦人。中風。55〜6歳くらい。息子に抱くようにして連れてこられて歩行にも起坐にも体が自由にならず、左半身はとりわけ不自由である。まず正座で身柱、天髎、臑兪、天宗、心兪、脾兪などへ灸をし、次に仰臥位になる時、足の筋がひきつれて伸びない。そこで中脘と左陽池へ灸をすえた。
「足のひきつれるのが楽になりましたでしょう」と先生が言えば「ええ」と言って楽々足を伸ばす。今度はうつ伏せになれと言ったが、なかなか困難だったが、どうやらなれた。だが、腕が痺れてたまらんという。そこでいち早く腎兪、小腸兪、次髎へ灸をすえた。かくして、曲池、合谷、陽陵泉、足三里、太谿をすえたら大変気分が良くなったと喜ぶ。
合谷の取穴法
沢田流合谷は、普通の陽谿の下の陥中の動脈の上に取るのである。この動脈の上に直で灸することが大切である。
[主治]そこひ(緑内障や白内障のことだろう)、ツキ目(?)の名灸である。また血圧亢進症にきく。中風患者にも用いる。
先生、合谷に灸をすえつつ、「体の余り物が外へ出るのです」と言われた。卵巣の悪い人にもこの灸をすえた。中風の人にも血圧亢進症の人にもこの穴へ灸した。
中風と五臓
「五臓六腑みな中風のもとになるので、中風を治すには五臓をもととして治療せねばならぬのです。世間でいう中風の灸などというものは、うまく経絡に当たれば効くが、当たらねばちっとも効きません。肝臓の中風というものは、怒って困るものです。これを治すには、脾臓と腎臓とを治せば良いのです。肝は木、脾は土、腎は水だから、木を育てるには水と土とを整えることが必要なのです。水と土を整えることを忘れて、木ばかりを育てようと思っても、育つものではないのです」
中風は脳溢血であることは明瞭な事実である。だが、中風を起こすに至った原因は必ずや内臓の不調和に求めねばならぬ。そうして、中風の治療にあたっても、内臓の不調和を療することが根本治療なのである。治療の原理を根本に求めていくのが太極療法の目の付け所である。迂遠の如くして迂遠でない。
労宮と咳嗽
労宮は中風などにも効くけれど、一番よく効くのは咳です。
取穴方法:手掌の中央であって、薬指と中指を屈してその先端の当たる両指頭間にある。
○中風で手の伸びぬものには、曲池と、郄門とこの2穴を繋ぐ線が心経と交叉する点とに灸すれば良い。斜の関係です。
(鍼灸真髄)
[脳溢血] ◎百会 天柱 ◎風府 風門 心兪 天髎 臑兪 肝兪 腎兪 次髎 中脘 陽池 手三里 足三里 陽陵泉 (症状に応じ加除する)
(鍼灸治療基礎学)