先日、処方していただいた桂枝人参湯を構成している生薬について調べてみました。
桂皮
- 一般に「シナモン」として知られる甘い香りのするセイロンケイヒの類縁。
- 中国では基原植物のケイの若枝を「桂枝」、樹皮を「肉桂」と呼んで区別している。
- 日本薬局方では「桂皮」としてだけ規定されているため、処方名に桂枝とついてる薬にも桂皮が使われ、多くの処方に配合されている。
- 「桂枝」はヒトの手足、体表の発汗解熱作用に適しており、葛根湯など感染症の初期に用いられるのは本来は桂枝とされている。
- 「肉桂」はヒトの体幹を温める効果に優れており、心、脾、腎を温め、気血の流れを改善する。また、経絡を温めることで気血の流れを順調にして四肢の関節痛、痺れ、月経痛を和らげる。
- 温裏薬の中でも桂皮は刺激が少なく、飲みやすいこと、下半身を中心に温めてくれるという利点がある。
甘草
- 他の生薬の働きを高めたり、毒性を緩めたりする「調和」作用があることから、最も多くの漢方薬に配合されている。
- 甘みは気血を補う作用や心身の緊張を緩める作用があり、強い甘みの残存する甘草は、心や脾胃の気をゆっくりと補い、精神状態(心神)を安定させるとともに、肺を潤す働きをもつ。
- 消化管、下肢、尿管などの身体各部の筋の緊張を緩めるためにも重用される。
- 筋肉の収縮には芍薬とあわせて芍薬甘草湯、小建中湯などとして、こむら返り、腹痛、尿管結石などに応用される。
- また、清熱作用があり、喉の腫れ、疼痛に甘草湯として用いられる。
- 甘草の主成分であるグリチルリチンはナトリウムの貯留を促し、カリウムを排出する働きがある。そのため循環血漿量が増える。
- 血圧上昇やむくみといった副作用が指摘されるようになった。
人参
- 朝鮮人参と呼ばれ、朝鮮半島、中国の東北地方が主産地。
- 耐寒性はすこぶる強く、山林の下でゆっくりと葉、茎を成長させる。
- その中で周囲の土壌中の栄養を吸い尽くし、根に溜め込む力があり、これが補益の源泉である。
- 弱点は他の植物との競争、気温上昇に弱い。
- 気を補うことで、弱った臓腑が正常に働き始め、疲労倦怠、病後の回復を早め、全身の機能低下を改善する。
- 脾胃の力を補う作用に優れ、消化力を高め、食欲不振など胃腸虚弱の改善に用いられる。
- また肺気を補うことで、風邪を引きやすいなどの体質改善にも用いられる。
- 心神を安定させる。
- 補気により血、津液の生成を促進させる。
- 全身の気を補うにはなくてはならない生薬。
乾姜
- 生姜はショウガを乾燥させたもの、乾姜はショウガを加熱したもので同一植物。
- 加熱することで化学変化が起こり、それによって辛みも増し、より温める作用が強くなる。
- 特に胃腸や肺、四肢をよく温めて機能を高めるとともに体内の冷えた不要な水分を温め除く働きがある。
- 手足の冷えや、冷えによって生じる脾の陽虚(むかつき、嘔吐、腹部膨満感、下痢)、肺の陽虚(水っぽい透明な痰や鼻水、慢性鼻炎、花粉症)に用いられ、冷えからくる胸や腹、腰などの痛みにも用いる。
- 温めることで止血する働きもあり、冷えを伴う月経過多、不正性器出血、血便などにも用いられる。
蒼朮
- 芳香で湿邪を取り除く芳香化湿作用があり、湿邪による、消化不良、腹部膨満感、むかつき、嘔吐、下痢などの胃腸トラブルに用いられる。
- ここでの湿邪は外気の湿度の上昇以外に、冷たいもの、脂ものなどの取りすぎも内の湿邪を増やすと考えられている。
- 湿気を取り去る力に優れているため、発汗、利水などで湿邪を取り除き、水分代謝異常を改善する。
- また、感冒薬として風邪を追い払う作用もある。
- 蒼朮は白朮よりも除湿作用に優れており、脾胃だけでなく、手足の湿邪(関節のはれや湿度上昇による痛み)にもよく用いられる。
生薬と漢方薬の辞典 参考
